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(更新: ORICON NEWS

my job , my heart 「心で切るシャッター」

仕事人特集インタビュー。テレビ・雑誌・WEB・街の広告・ポスター…写真撮影のプロとして各種メディアを支えるフォトグラファー。本WEBサイトのTOPページのメインビジュアルを撮影しているRYUGO氏に仕事のこだわりを聞いた。フリーランスのフォトグラファー、RYUGOの仕事哲学。
TOPICS
P1.フォトグラファーの仕事〜写真を仕事にするまで
P2.刺激的な仕事の思い出〜写真の仕事で大切なこと
P3.心のシャッターとは〜仕事人に5つの質問
Profile
フォトグラファー
RYUGO SAITO

新潟県出身・37歳。大学在学中にフリーフォトグラファーとして活動を始め、フォトスタジオ勤務を経て27歳で渡米。帰国後はフリーフォトグラファーとして独立し、現在ポートレートを中心に雑誌、広告、ライブ、ドキュメンタリー、動画撮影など多方面で活動中。
GUETHE(幻冬舎)、anan(マガジンハウス)、RollingStone日本版等、雑誌の撮影経験も豊富。コスメ・「SK-ll」のCMムービーにフォトグラファーとして出演(有村架純と共演)、東方神起の写真集、滝川クリステルや山下達郎のアーティスト写真等も撮影。

HP:http://ryugosaito.com/
本WEBマガジンOLIVERのコンセプト「雑誌のようなWEBマガジン」や、ポートレイト撮影に力を入れてハイクオリティーなビジュアルを追求するという編集方針に共感してもらい、2016年4月の公開時からCOVER INTERVIEW(メインビジュアル)の撮影を引き受けてもらっている。

2016年4月 Hi-STANDARD VO.難波彰浩

2016年4月 Hi-STANDARD VO.難波彰浩

2016年6月 長谷川京子

2016年6月 長谷川京子

2016年10月 山田孝之

2016年10月 山田孝之

著名人撮影のほぼすべてがRYUGO氏によるものだが、『OLIVER』の撮影はRYUGO氏の仕事のほんの一部だ。

同じ日はない、刺激的な仕事

“撮影”だけがカメラマンの仕事ではない。撮影の前段階に、数回の打ち合わせをし、時にはロケハン(現場の下見)等事前の準備をしてから撮影に臨む。大きなプロジェクトになるほど、入念に何回も打ち合わせを行う。一日に撮影と打ち合わせが複数入ることも多い。さらに、撮影した写真の品質チェックや色味などの調整、時には部分的な修正(レタッチ)作業も行い、最終的に納品する。

「フォトグラファーの仕事は一日として同じ日はない。毎日違う事をしている。だから飽きなくて面白い」という。忙しい日は1日に数件の撮影が入る。
<一つの撮影が終わるまで>

企画の打診・打ち合わせ
撮影の前段階に、撮影のコンセプトや表現したいことをクライアントとすり合わせる。大きなプロジェクトほど入念に行い、時には数回の打ち合わせが必要なこともある。
 ↓
事前準備
仕上がりに必要な 機材や撮影アシスタントの手配をしておく。撮影当日の環境を確認し、可能な時はロケハン(ロケーションハンティング=下見)をすることも。
 ↓
撮影本番
作りたいビジュアルに応じて、ライトなど撮影セットを組み、本番に臨む。
 ↓
撮影後の仕上げ・調整
フォトグラファーは撮影後にも仕事がある。デジタルカメラの場合は、撮影写真をデータ上で品質チェックをし、色味などの調整、時には部分的な修正(レタッチ)作業、データの加工も行う。
 ↓
納品
一昔前はプリントした写真を入稿していたが、今はデータ入稿が主流。クライアントが指定した形式で写真プリントまたはデータを渡して完了。
OLIVERで来月公開予定の俳優・松坂桃李の撮影現場の様子を紹介する。都内の某写真スタジオにて、当日のOLIVERの撮影時間は15分。限られた時間の中で高品質のビジュアルを作り込むポートレイト撮影、特に有名タレントの撮影現場は、状況が刻一刻と変わりアドリブ力も求められる。大勢の関係者に見守られながら、その様子はまるでライブのようでもある。

現場の撮影環境を見てライトやセッティングを考え、アシスタントに機材セッティングの指示を出す。

現場の撮影環境を見てライトやセッティングを考え、アシスタントに機材セッティングの指示を出す。

1ポーズ、1セッティングごとにテスト撮り。

1ポーズ、1セッティングごとにテスト撮り。

モニターでチェックし…アシスタントに指示を出す。

モニターでチェックし…アシスタントに指示を出す。

数回くりかえして理想の絵に近づける。

数回くりかえして理想の絵に近づける。

この日は、急遽撮影時間が20分繰り上がり、充分にセッティングに時間をかけられないまま撮影本番に突入。映画会社の宣伝部、事務所のマネージャー、スタイリスト、ヘアメイク、メイク、媒体の編集、ライター、スタジオアシスタント…撮影現場では総勢15名以上が撮影を見守る中、アドリブ力を発揮しながら15分の間に4〜5ポーズの撮影を行った。

座った状態のラフな姿を取るために、地べたに寝そべりローアングルでシャッターを切る。視線の先には松坂桃李が。

音楽がきっかけで写真の世界に

フォトグラファーになったきっかけを問うと、「僕のルーツは音楽。写真は昔から好きだったんですが、本当はバンドを組んで音楽をやりたかった」とRYUGO氏。

思い出の町・下北沢にて

思い出の町・下北沢にて

「大学進学で上京する際、姉に「面白い街だから」と勧められて下北沢に住み始めました。僕が一番影響受けた甲本ヒロトさんがバイトしてたラーメン屋もあるし(笑)、「屋根裏」をはじめ、たくさんライブハウスもある。音楽をやるにはいい街だと思った。

大学では暗室がある写真部に入り、音楽スタジオ代もなかったのでドラムセットのある軽音サークルにも入った。写真を仕事にしようなど思ってもいなく写真展に飾るためにただただ好きな写真を撮っていました。

軽音サークルの先輩から誘われてハードロック、メタル系をやることになったんですが、全然自分の好むジャンルじゃなかったので『僕、写真撮れるんで、先輩のライブ写真を撮りますよ』ってことにして逃げてたんです(笑)。でもそれが、誰かのために写真を撮りだす直接のきっかけですね。」

そのライブ写真がサークル内でも評判になり、ライブハウスでバンドの写真を撮るようになった。

「ライブハウスに行ってかっこいいサウンドしてるバンドがいたら自然に撮りたくなるんですよね。音に反応して。その写真をバンドの人に見せて、欲しいカットをプリントしてあげてた。バンドのデモテープのジャケットに是非どうぞって、テープのケースのサイズにプリントを切って…そんなことを続けていたら、ある日フリーマガジンの編集の方から依頼がありました」

日比谷の日比谷野外音楽堂で開催された『喫茶ロック』という、ムッシュかまやつらが出演したプロジェクト。ライブ音源がCDになるという試みで、ジャケット・ブックレットをRYUGO氏の写真でやることに決まった。
「学生の時ですが、それが初めてお金をもらってやったお仕事でした。自分の写真がタワーレコードの新宿店とかにドーンと出てるのをみて、こんなことになるのかと(笑)。自分は音楽よりも写真のほうが可能性があるんじゃないかって思ったんです。楽しく撮った写真で誰かが喜んでくれて、誰かのためになればそれで食べていけるんじゃないかと」

写真は思い出の記憶装置

高校生の頃から好きで続けてきたカメラが、大学時代に“仕事”になった。そもそも写真の魅力とはどんなところにあるのだろうか。

「高校進学でバラバラになる4人の仲間と、海に行って記念写真を撮ったんです。母から借りたインスタントカメラで、日本海の夕日をバックに。肉眼では人も夕日も日本海も奇麗に見えていたんですが、現像したら、見事に人物がシルエットになっていて、それが面白いなぁって思って。その写真自体も素敵だったんですが、肉眼とは違った絵になるのも面白いし、人物が見えなくてもそのシルエットだけでその時の思い出が蘇る。そこにとても惹かれました」

そんな素敵な一瞬を追い求めて、フォトグラファーになろうと大学生の時に決めた。
また、もうひとつ影響を受けた写真を教えてくれた。伝説のパンクロックバンド・「The Clash」の名盤『LONDON CALLING』のジャケット写真だ。ベースのポール・シムノンがベースを叩き壊す瞬間をとらえたカットで、ロックン・ロール・フォトグラフの傑作として世界的に有名な一枚。
「カメラとか技術を超えた写真のものすごさを感じて鳥肌が立ったのを覚えています」

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