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(更新: ORICON NEWS

竹原ピストル「寸分たがわず、何が何でもこの感動を伝えたい」

楽曲制作の根底にある思い「何が何でもこの感情を伝えたい」

感情表現が激しい役柄に挑戦した竹原。ミュージシャンとしての活動では、自分の内から生まれた楽曲に歌で感情を込めて伝えていくことは、ある意味自分をさらけ出すこと。芝居と音楽、表現で共通するところはあるのだろうか。

「歌と芝居は、まったく別物だと思っています。根本的にあり方が違います。例えば音楽のライブだったら、自分自身が監督になって理想のライブに近づけていく。対して映画は監督がいて、自分は演者ですから、監督のイメージ通りの動きができるかどうかで勝負をするもの、根本的に違いますね。

俳優業で楽しいなって思うのは、普段だったら絶対ありえないことを実体験できることですね。例えば、感情に任せて動くこと、オラって怒鳴って怒りをぶつけたり、それこそぶん殴ることかもしれないし、思いっきり泣くことかもしれません。でも自分の実生活ではそういうことをすることはないです。うん、まずない。役をいただいて、バス会社の会見のシーンで「そんなんどうだっていいんだよ、ウチの嫁さん返してくれよ」って怒鳴って果物を投げつける。そういうシーンを経験して、「あぁ、俺は怒るとこうなるのか」って発見がありました。自分の新しい一面を知る面白みはありますね」

「芝居を経験したことで音楽に影響があるとは考えたことはない。そう僕自身は考えてはいますが、ひょっとしたら無意識的に作用しているところはあるかもしれませんね。映画の台本を読んだ時にひらめきをもらって書いた「たった二種類の金魚鉢」という曲があります。そういう影響は受けています」

「たった二種類の金魚鉢」歌詞はこちら
<竹原ピストル公式ブログ 流れ弾通信>

竹原ピストルが投げかける強いメッセージ性の本質はどこにあるのか。楽曲制作で大切にしていることを聞くとその片鱗が見えてきた。

「自分を理屈っぽいと言いましたが、受け取りようによっては心のまま“まっすぐ”なのかもしれません。例えば台本を読んだ時の余韻や感動を四の五の言わずに“とっても感動した”って伝えればいいと思うんです。でも僕は、“何をもってこれに感動しているのか”、“この感動を構成する要素は何なのだろう”ということを自問自答して考えて、それを例えるなら…と言葉を並べていくんです。そういうところが理屈っぽいんです。

寸分たがわずこの想いを伝えたいという思いはまっすぐかもしれませんが、この気持ちをどうにかして伝えたいなって思う時に理屈っぽくグダグダ考えちゃうんですよね。言葉のパズルを組み合わせるときも、一番ベストな組み合わせはどうか?と試行錯誤しながら「どんな言葉を用いようとも、この感情は絶対に伝えたい」と思って曲を作っています」

そんな風に自分の内に生まれた感動をとことんかみ砕いてから形にしていく。映画『永い言い訳』の台本を読んで作曲したのが「たった二種類の金魚鉢」だが、どのような感動を抱いたのだろうか。

「“西川監督作品のリアルさ”って言いそうになるんですが、それだとちょっと違うんです。「世の中ってこうだよな」っていう…。例えば、人間の優しさや希望を表現した歌は世の中にたくさんあるんですが、でも僕は「待て待て、そういう優しさってこの世に“実在”するか!?」って思っちゃうんです。希望の歌は山ほどあり、そういう歌が好きな人もたくさんいて、僕自身も好きです。でも、その種の希望は身の回りにありますか? ある意味ファンタジーですよね。

この映画は自分が生きていくうえでそこらへんに転がっている痛み、優しさ、希望、絶望…確かに存在するものだけで構成している。その作品作りの姿勢に感動したんです。これを表現することは本当に難しいんですよ。だからこそ本当に感動したし、西川監督を尊敬しています」

「今作『永い言い訳』に関わり浮かんだフレーズは水槽…『金魚鉢』です。ギュッと密閉された空間を描きたかった。街を歩いていて、マンションに部屋の明かりが無数についているのを目にします。窓の明かりの数だけ、暮らしている人たちが確かに存在していて、それぞれの人間の人生、暮らしがある。そのおびただしい数の人生に、どこか恐ろしい気持ちになるんです。外から見たら点にしか見えないその明かりひとつひとつの中に、喜怒哀楽、幸せ、不幸…そういったものがパンッパンに充満している空間がある現実。その息苦しさを投影したんでしょうね。決して息苦しさだけではないですが」

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