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(更新: ORICON NEWS

松岡充「男は、もっと少年に戻っていい」

東京を再発見できた

アーティストとして長いキャリアを持つ松岡にとっても、撮影を通じて新たな気づきがたくさんあったという。

「今回の映画の仕事を通じて発見がいろいろありました。地下のトンネルで水が流れている場所。あれ実は渋谷なんですよ!? 渋谷のど真ん中。東急の前。246号の下なんです。成田空港付近のシーンもそう。よく行きますが、あんなに「手が届くんじゃないか!?」ってくらい近くを飛行機が通る場所があるなんて、知らなかったです。映画のメインビジュアルも、麻布の交差点の近くのビルの屋上です。六本木にこんなところあるって想像できます!? これまでたくさん都内でロケや撮影を経験して多くの場所を見て来ましたが、今回は驚きばかりでした。ロケーションがすごいというよりは…このロケーションから見た東京がすごい、って感じでしたね」

「いつも僕らが暮らして見ている場所でも、見ているようで見ていないってことなんですね。もっと実は世界や人の感情は立体的です。自分の目線や価値観を疑うことがどれだけ新しい発見があるかってことだと思います。こんなもんだろうって思ってしまうとそれで終わってしまう。自分で決めつけることによってつまらなくなってしまっている気がするんですよね。「そうじゃないはずだ」「この裏側には何かがあるはずだ」、そういう新しい可能性や多面性があることをこの映画を通じて勉強させていただきました」

人生に寄り添う「音」を作り続けていきたい

音をテーマにした本作品で「音を録る男」を演じた松岡。ミュージシャンとして、「音を作る男」松岡充は、音楽について何を考えているのだろうか。今の音楽業界についての想いを語ってもらった。

「ミュージシャンとして、サウンドクリエイター、ボーカリストとして考えると、ハードがまったく変わってきている時代です。僕らは当たり前のように作品=CDと思っていたんですけれど、今はCDを再生する機械自体が身近じゃないんですよね。ポータブルCDプレーヤーを持っている人なんて見ないじゃないですか。車を買っても、CDのスロットはオプションで、選ばなければ付属しない。パソコンにもCDドライブがない。音楽を作っている方としては、再生するものがないソフト(CD)を作るのはどうなんだろうと考えてしまいます。CDにすると音質としてはデータ量があからさまに少なくなる、パンパンに入れて800MB(製品版は700MB)ですから。今ドキ「800MBって…!?」って思うワケです。でも、自分達で聴く分にはどっかそこで満足してしまっている。本当に考える必要があるなというのが正直なところです」

「でも、音楽の何が素晴らしいかって言うと、空気感や思い出、付き合っている人たちの顔…すべてを“真空パック”してくれるところ。時代が流れても、ケースをパカッて開けた時に悔しかったこともうれしかったことも鮮明に蘇らせてくれること。それは音楽の本当にすばらしいところ。なので、リスナー1人ひとりのリアルストーリーとリンクする音楽をこれからも創っていきたいと思っています」

音楽はオリジナル音源の“味”を楽しむ

「僕もまだレコードもCDも、テープも大量に持っています。時代が変わってソフトもハードも変わるのは仕方ない。だからこそ、いちリスナーとしても「オリジナルを聴く」ことを大事にしています。今ドキの、名盤リマスタリングもいいんだけれど、オリジナルには特有の空気感があります。「このバンドこんなヘタクソだったっけ? でも滅茶苦茶カッコいいな!」なんてことは、オリジナルじゃないと味わえないんでね。写真もそうですよね。修正されて美しい写真を見るのもいいですが、修正をすると味や人間味が消えていく。オリジナルを楽しむようにしています」

「昔、レコードからCDになった時はアーティストは嘆いていたんですよ(笑)。ジャケットという限られたスペースの中で、レコーディングした音源の世界観をビジュアルで表現して、そのビジュアルと音で立体感を楽しんでほしかったのに、CDジャケットだとだとキャンパスが小さくて、表現が狭まってしまったって。でも、今、NYに行くとプレーヤーとか、テープとか、ウオークマンが流行り出している。すっごいお洒落なカフェに、レコードショップが併設されていたりもします。いいものは残っていくっていう、いいものが分かる若い人たちがいるってことは嬉しいですね」

【松岡充インタビュー動画】40代の「哲学」を語る

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