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(更新: ORICON NEWS

松岡充「男は、もっと少年に戻っていい」

1995年にロックバンド・SOPHIAでデビューし、ドラマ・映画・舞台などでも主演し、フィールドを広げてきた松岡充。2013年にSOPHIAの活動を休止し、現在はバンド「MICHAEL」という新バンドを結成し、他アーティストへの楽曲提供や、サウンドプロデューサーとしても活動を続けている。5月公開の映画『TOKYOデシベル』では、東京の音を録音する大学教授役を演じる。久しぶりの映画出演となった本作のエピソードのほか、独自の音楽の楽しみ方や男の生き方について語ってもらった。

「僕にとって伝説的アーティストの文学作品」

本作『TOKYOデシベル』は辻仁成監督の9作目。原作は三島由紀夫賞候補になり、フランスでも翻訳出版されたタイトルだ。大学教授の宙也は“東京の音の地図を作る”という夢のために各地で音を集音し、解析をしている。ピアノの調律師である恋人のフミが去ると同時に、謎の女マリコが宙也の前に現れる。音を録る男、音を正す女、音を盗む女…独特の世界観に「音」を中心とした哀しい男女の物語が展開していく。音楽監督として、LUNA SEA、X JAPANのギタリストとして活躍するSUGIZOが音楽監督として参加。音を通じて東京がいつもと違う表情を見せてくれる。

「2013年に辻さん仁成さん原作の朗読劇『その後のふたり』に出させていただきました。もちろん辻さんのことは存じ上げていて、フランスにお住まいだということも知っていました。3年前、今活動しているMICHAELというバンドのビジュアル撮影で僕が用事でフランスに滞在している時に、せっかくだからとご自宅にお招きいただいたんです。辻さんは、僕らの世代にとっては伝説的なミュージシャン(ECHOES)だし、小説家でもあり、監督、演出家でもある、とにかくなんでもできるというか…知的なアーティストの先陣を切っている方。辻さんの弾き語りライブも見に行ったことがありますが、こんなに歌が響くボーカリストはそうそういないって驚きました。僕にとってはどこを切っても尊敬できる表現者です。

そんな辻さんのご自宅に招かれること自体もドキドキしていたのですが、「映画化しようと思っている。台本ができたから読んでみて。大切な作品なんだ」って『TOKYOデシベル』の台本を渡されました。その時は現実的に「これは僕がやるってこと?」なんて考えてなかったです。だからこそ、正式に主役で松岡君やってくれと言われたときはミュージシャンだ、俳優だというジャンルを抜きにして、純粋に嬉しかったです」

辻仁成監督(中央)

辻仁成監督(中央)

「監督自らが東京だけじゃなくて、東京近郊も探して見つけ出した場所でロケをしました。東京を知っている人もなかなか見えてこなかった東京の姿が見られます。実在する普通の景色なんですが、「そこを改めて東京として見ない」ような場面が散りばめられています。自分がよく知っている人でも、知っている面と知らない面があって、知らない面から見ることでその人のリアリティが見えてくる…それに近いことを映画で表現されているのかなと思います」

「さらに僕はそこで、耳を澄ますだけでは聴こえない音を拾う高感度マイクを持って、実際に録音しながら撮影している。僕が実際に興味を向けたところを撮っていたりします。不思議な体験だったのですが、音の世界に没頭すると、そこの場所の意味、何故そこにその建物があって、こういう車が出入りして、どんな人が働いているのか…そういうことがなんとなく分かるような気持ちになりました。流れていく映画の景色ってこだわって見ないと思いますが、変わっていく東京のシーンそのものが多分監督の中では登場人物なんですよね。実はそこにストーリーがすでに流れている。景色が変わっていきますが、その風景を含めて全員が出演者でした」

「辻仁成ワールドというか。いろいろなエンターテイメントの規格を超えている作品だと思います。いわゆるハリウッド映画的なものではなく、文学作品ですね。映画というものの中にメッセージとか、自分しか見つけられない景色を探そうとか、スクリーンの向こう側にある景色まで想いを巡らせて見るような映画ファンの方にとっては、すごく立体的な作品になっていると思います」

【松岡充インタビュー動画】40代の「哲学」を語る

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