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野村萬斎 「己を知り、異文化の刺激を“自分ごと”に変換する」

日本の伝統芸能を継承し、テレビドラマ、映画、舞台などでも活躍する狂言師・野村萬斎。最新出演作、映画『花戦さ』では、華道の家元・池坊(いけのぼう)の歴史上の人物である花僧・池坊専好を熱演。日本の伝統芸能に携わる芸術家として考える狂言と華道の共通点や、萬斎流の人生の楽しみ方を語ってくれた。

歴史上の“天才”花僧を天真爛漫に表現した

本作の主人公は花僧・池坊専好。池坊は室町時代に華道の理念を確立。現代まで続く華道の家元であり、生け花の源流として知られている。本作では、池坊専好が、権力の栄華を極めた時代の豊臣秀吉を打ち負かしたという、人知れず行われ歴史の闇に葬られた“大戦さ”を描く。

「今回は“華道家”というよりは“天才である人”を演じる苦労がありました。花が好きで、花の力を信じている。そんな自分と花に嘘をつかないようにすること。その想いを見た目に表すために、精神的姿勢や花にどれだけ対峙しているかということを見せないといけなかった。とにかく花しか見ていない、天真爛漫さを心がけました。ありがたいことに芸能の世界にいると周りに天才はいるものですから、今回は身近な天才音楽家を参考にしました。昔から仲のよい知人で、即興演奏もできる人なんですが、とにかくずっと笛を吹いている。泳ぎ続けないと死んでしまう回遊魚のように、まるで吹いていないと死んでしまう、みたいな人です。

笛を吹いていることが彼にとっての“命の発散”で、相手がどう思うかなんて考えもしない。時間の感覚やTPOの分別がなく、どこでも吹ければいいんです。自分が吹けば思いは人に伝わると信じている。天才となんとかは紙一重と言いますが、音楽ばかりやっているので社会性が欠如している部分があって、僕は「5歳児」と呼んでいるんです(笑)。その人のことを参考にしました。人の名前を憶えられない専好さんもきっと彼と同じで、花しか見ていないのだろうと思いました」

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