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趣味特集:『カメラと一緒の生活を、はじめよう。』

LIFE
日常のふとした瞬間、大切な人の表情、旅先の美しい景色。記憶にとどめたい瞬間を自分の感性で記録に残せるのが、カメラの楽しさ。スマホもいいけれど、デジタル一眼を自在に操り1枚の写真に表現する。その楽しさを知れば、いままでの日常が少し違った視点で見えてくるかも。
Topics
◆“ひとつのテーマを撮り続ける”という楽しみ方
 『構造美×カメラ』 ―齋藤 浩(P1.)
 『笑顔×カメラ』 ― かとう ゆういち(P2.)
◆押さえておきたい、カメラ選びの基本のキ(P3.)
ナビゲーター
矢島 直美(やじま・なおみ)
雑誌『カメラ日和』編集長。今まで多数のカメラマンを取材。写真教室「たのしいカメラ学校」を主催し、自らも講師を務める。

“ひとつのテーマを撮り続ける”という楽しみ方

撮りたいと思うモノは人それぞれ違う。また、同じモノを撮ろうとしても、切り取り方は人それぞれ違ったりする。つまり、自分が何かを「撮りたい」と思ったとき、好きな構図でシャッターを切ったとき、そこには自分だけの感性に引っかかる何かがあるということ。

多くのカメラ好きを取材し、また写真教室も手がける矢島さんは、“自分だけの感性”に引っかかる何かを見つけたときに、カメラの楽しみ方が大きく変わると言う。「最初は撮りたいものを記録することから始まるけど、次第に『もっとこう撮ってみよう』と、ただのスナップから一歩進んだ世界へと踏み出します。おすすめは“テーマを設けて撮り続けること”。そのテーマは、被写体でもいいし、シチュエーションでもいい。最初は“なんとなく”でも続けていると、自分の感性が反応するモノが明確になってきて、写真がより一層楽しくなります」と語る。

ここでは“ひとつのテーマ”で写真を撮る2人を紹介。自分が好きなものを撮り続ける、そこにある楽しさは何か。ひと味違ったカメラの楽しみ方をご紹介。
『構造美×カメラ』
― グラフィックデザイナー・齋藤 浩
飾っていない、生活に必要なものが結果的に美しいと気づいた
趣味のカメラを続ける中で、「無意識でたくさん撮っていたのが、壁や鉄板やブロック壁、階段、ガスの配管、道路の補修跡だった」と話す齋藤さん。「作った本人にその意図がなくても、見方によってはアートと言えるような構造物が実はたくさんある。飾っていない、日常生活に必要なモノが結果的に一番美しいと思った」。これが齋藤さんの感性に引っかかったものだ。「この“構造美”をいろんな人と共有したい。けど、それをただ撮っただけでは伝わらない。ならどう撮る?」という自問自答から、“構図”へのこだわりが生まれた。
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見た人が、ひと目で「なにコレ!」と思う構図を探すのが楽しい
本業のグラフィックデザインでは、「飾り過ぎない、説明しすぎない、余計なものを入れない。それでもひと目で伝わるもの、が求められる」そう。“構造美写真”を撮るときには、「自分が面白いと思ったものが、どんな構図なら見た人に伝わるか。どこを入れて、どこを切るか。それをファインダー越しに考えるのが楽しい」と言う。目指すのは、見た人が「なにコレ!」と一瞬で惹きつけられる写真。それがデザインの仕事の訓練にもなっているという。
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日常×カメラ=得した気分をくれる
日常のなかで“構造美”をテーマに撮り続けることで起きた変化。それは、「いままで見過ごしてきた風景や人、物の魅力を改めて発見できるようになったこと。仕事の移動中でも、“何か面白いモノはないかな”と思いながら、一駅分歩いてみる。そこで面白いモノを発見すると、得した気分になります(笑)」。散歩も旅も仕事中の移動も、充実した時間に変わったそう。
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一眼レフは、大型バイクを乗りこなすような楽しさ
男にとってカメラは、“機械いじり”の楽しさも与えてくれる。「マニュアル撮影は、上達を実感できるところが楽しい。ダイヤルをいじりながら、ピンボケも感光ミスも自分の技術次第。まるで大型バイクやマニュアル車を乗りこなせるようになる感覚に近いです」。高性能な多機能カメラは、その楽しい部分を全部カメラに奪われてしまうから、つまらないのだとか。
作品のこだわり
“構造美”をわかりやすく伝えるために、モノクロで表現している。「色が入ると構造そのものが見えにくくなってしまうから」。
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『風力発電の風車』(北海道・幌延町) あえて手前の風車を見切り、横から撮ることで巨大建造物が立ち並ぶ様子を表現。

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『雨上がりの歩道橋』(沖縄) 壁の向こうは沖縄の海。それを感じさせない不思議な無機質感は、電柱も鳥も人も、何も写らない構図ゆえ。壁の向こう側は? 道の先は? と見る人の想像力を引き出せる。

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『亀甲階段』(石川県・金沢) 仕事の合間の散歩中に遭遇。雨に濡れた壁面に薄日が差して、光のグラデーションに。それが、ただの壁面をなんともいえない巨大なミニマル・アートに見せている。六角形と直線のみの“構造美”に惹かれた。

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『重ねられた木箱』(広島県) 古くからある港町にて、無造作に積み重ねられた木箱の絶妙なバランスに惹かれて撮影。偶然が生み出した美しいオブジェ。

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『階段の裏』(東京都庭園美術館)名建築の屋内階段。タテ構図で床や天井をトリミングし、抽象絵画のように表現。モノとモノの隙間などの“マイナスの空間”を写すのも面白さのひとつ。

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『矢印』 曲線の面白さに惹かれて撮影。寄りで撮ることで不思議さを強調。
Profile
齋藤 浩(さいとう・ひろし)

グラフィックデザイナー。有限会社トンプー・グラフィクス主宰。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科卒、同専攻科修了。文化庁メディア芸術祭優秀賞など、デザイナーとしての受賞多数。趣味として写真を続けながら、近年は度々グループ展を開催している。The ADC、日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)会員。
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