OLIVER

長渕剛5年3カ月ぶりのアルバム「BLACK TRAIN」から見る“熱さ”の源とは

CULTURE

周りの目を気にする前に、当人同士の関係性を見直せ

M2 「嘆きのコーヒーサイフォン」
怒りに任せた強烈な怒号を、ロカビリーのリズムとカタリ、ブルースハープでぶつけた一曲。怒り狂った上司と怒られる間の抜けた部下の様子が浮かぶ。


――「嘆きのコーヒーサイフォン」を聴いて、歌詞を読んで、痛快だなって思いました。パソコンモニタ越しに話す奴、気の抜けた奴はいますよね。今はなんでも規制規制じゃないですか。そんな時代の中であそこまでストレートに叱咤できるのが、中間管理職や上司側の気持ちを代弁してもらっているようなスカッとした気持ちになります。長渕さんのようなスターでも、スタッフに直接叱咤激励することはあるんでしょうか?

「しょっちゅうありますよ(笑)。コンプライアンスとか殴ってはいけませんよ、こういうことをしてはいけませんよ、という規制は実はいつの時代でも存在するんですよ。それは、正しくもあり、間違いもある。時代が変わるとともに、どんどん壊しては作っていく。新しい考えはもう出尽くしたと思っているんです。その中の良かったものだけをチョイスしていけばいいのに、すべてを規制していこうってのは違うような気がするんだよね。

それでね…“加減”ってのがあるんです。”湯加減”と一緒ですよ。加減は飛び込んでみないとわからないでしょ? 湯に入りたいから触ってみる、ちょうどいいかなって思って入ってみると…“あっちぃぃぃ〜〜!!”ってね。入りたいけれど、入ってみないと分からないわけ。『お前は俺とつるみたいのか? つるんだら掟があるぞ。破ったら痛い目に合うぞ』ってのは今も昔も未来永劫あるわけですよね。それを、加減もなにもなく頭ごなしに”すべてダメ”ってやってたら、大やけどをして死ぬ人間がたくさん増えると思うんだ」

――ようは“殴り方”の問題だと。「もう二度と面は見たくねえと思っても、翌日にはなんとかしてやりてえって思うのが人間だ」とおっしゃってます。愛情をもった怒り方ができていれば、想いが相手に伝わっていればいいのかなと思いました。

「例えば、子どもを教育していったり、教師なんてのは熱い魂で集う人間が多かった。でも頭をポンとも叩けないとなってくると、じゃあどうやって教育していくんだってなるよね。やけどはしてみないと分からないし、やけどした理由もあるわけだからさ。僕は今の時代に“これが正しい”と言われていることは、“理想的”ではあるけれども、現実から離れていると思う」
――我々の業界でも、昔は使えたのに今は広告・記事に使えない言葉があります。学校の現場も昭和の時代は先生に殴られましたけれど、今やったら事件ですよね。会社でも、部下への接し方もパワハラだとか、叱り方で規制があったりする。

「僕が小さい頃は、悪さすると神仏の前に連れていかれて、線香を3本手にジューってやられたよ。「いってえ〜!もう嘘つかない!!」ってね(笑)。それでもときどき悪さするんだけれど、痛みは思い出すよね。今の時代そんなことをしようと思ったら、他人が口を出すんですよね。余計なお世話でね。本質は本人同士の問題なのにね」

――コンプライアンスだとかそういう話をする前に、本人同士の関係であり、それを見直したり、怒り方の“加減”の提案なんですね。

「自分の庭のルールは決めるでしょ。【ここの芝生を刈ってはだめ。この花は摘まない、でもザクロの実が成った時は摘んでもいい。ただし多くは獲らないように。3つは隣にあげて、自分は6つ食べようね】そういう、非常に現実に即したことを教えてくれたものです。今の現実と何も変わらない真理ですよね」

――長渕さんはどこまでもストレートにモノを伝える、人間の基本を大事にしているのですね。これも普遍的なテーマを歌にしたといいますか…。

「だって、面白くないでしょ。世の中で言われていることが現実じゃいなんだもん。まことしやかに国家や家庭のありかたを求めていますが、理想は実現しないじゃないですか。それはおかしいなと思ったりするんです。面倒くさくなったよね。本当はこう思っているっていう裏をかくのは面倒だよね。言いたいことは言えばいいと思うんだよ」
長渕剛WEB動画インタビュー
ニューアルバム『BLACK TRAIN』より熱きメッセージを届ける!!
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