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(更新: ORICON NEWS

長渕剛「人が生きる幸せを歌にして残したい」

人が生きる幸せを歌にして残したい

――そうして生まれた長渕さんの曲は、普遍的な人間の営みのように『変わらないもの』と時代や社会などの『変わっていくもの』を歌っている印象です。今回のアルバム『BLACK TRAIN』に入っている「かあちゃんの歌」なんて、きっと100年前も今も人間の母子の関係は変わらないですよね。歌のテーマはどのように決めているのでしょうか。

「普遍的とおっしゃいましたけれどね。普遍的というのは、誰が作ったのか分からないけれど、ふいに口ずさんでいるメロディーだったり、歌だったり。50年100年経てば誰が作ったかなんて関係ないんだ。「赤とんぼ」なんかは、僕もふいに出てくるよね。「夕やけ小やけの赤とんぼ」ってね。…誰か作ったかなんて関係ないのよ。

その人の心にひたひたと、連綿と流れているもの。だから体内に忍んでいくようなメロディーは、悲しみと憂いと生命力に満ちている。夕焼けを僕らが見た時に、「一日終わったな」「また明日頑張らなきゃな」「むこうにポツポツと明かりが灯ってきたな」「あそこにもひとつの暮らしがあるんだな」。夕焼けの時はしみじみと考えるよね。夕焼けを見て“人をぶっ飛ばしてやろう”という気持ちにはならないよね?(笑) 朝日と夕焼けが持つ不思議な力だね。「赤とんぼ」なんかは、ねえやが里に出されちゃうわけでしょ。俺なんかは、歌詞読むとボロボロと来ちゃう。その歌詞に自分の人生、母や姉の人生を投影して夕焼けを見るとね。「明日も頑張ろう」…そういう普遍的なことだったりするんじゃないかな」

「でもね、その普遍的なことって、実は、変わるものなんだ。俺も、当たり前のことになって忘れてしまう。ここにあるギブソンのギター、カスタムしたエレキ、たった一人の姉、子どもたちがいることの幸せ、友と語らう時間、あるいは今この場でのあなたとの対談。そういうことは当たり前に思えてくるわけです。毎日自分が同じことをやっていると感謝の気持ちがなくなっていく。それはやっぱり嫌なんだよね。変わっていいものと変わってよくないものがある。当たり前にそこにあることの幸せを分からなくなることが嫌なんだ。だから歌を書いて残さなきゃと思う」

「変わってしまうことを歌うのは簡単ですよ。オラァ!って怒ればいいんだから(笑)」

――なるほど…。幸せがいつのまにか、当たり前に感じてしまう。男も女も、ミュージシャンも会社勤めの人も関係なく、大なり小なりあるけれどきっと世の全ての人がそうですよね。

「うん、そう思う。変わらないメロディーや、詞が聞こえてくると『どうしたの?』っていうくらい、人に優しくなれたりするんだ。自分が若い頃、子どもを持った時には、『ああ、(忘れては)いかんいかん』と思って本当に抱きしめましたね」
WEB動画インタビュー
長渕剛からのメッセージ

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