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MIYAVI「自分自身にドキドキしなくなったら終わり」

自ら編み出したスラップ奏法を携え、日本を飛び出し世界で注目される“サムライ・ギタリスト”MIYAVI。2017年はソロデビュー15周年にあたり、最近ではアンジェリーナ・ジョリーに見初められ、ハリウッド映画デビューを果たすなど、新たな舞台での活躍も目覚ましい。そんなMIYAVIが11月8日に、さまざまなアーティストとの対戦型コラボレーション・アルバムの第2弾『SAMURAI SESSIONS vol.2』をリリースする。最も注目すべギタリストであるMIYAVIの、アルバム内で行われた“対戦”の秘話や、さまざまな舞台で活躍するエネルギーの源などに迫った。
Profile
「MIYAVI」

エレクトリックギターを、ピックを使わずに全て指で弾くという独自の“スラップ奏法”で世界中から注目を集めるギタリスト。これまでに約30カ国300公演以上のライブと共に、6度のワールドツアーを成功させている。常に世界に向けて挑戦を続ける“サムライ・ギタリスト”であり、ワールドワイドに活躍する今後最も期待のおける日本人アーティストの1人。

ギターで旋律とハーモニーを奏でる尊さを感じている

2012年に、ジャンル・キャリア・国境を越えて様々なシンガーや表現者達と一緒に創った対戦型アルバム『SAMURAI SESSIONS vol.1』の続編に当たる今回の「SAMURAI SESSIONS vol.2」は、更にパワーアップした内容となっている。MIYAVI個人のオリジナルアルバムではなく、他のアーティストとのコラボという形にしたその想いを聞いた。
『SAMURAI SESSIONS vol.2』
01.Dancing With My Fingers / MIYAVI vs 三浦大知
02.Gemstone / MIYAVI vs SKY-HI
03.Fight Club / MIYAVI vs EXILE SHOKICHI
04. Banzai Song / MIYAVI vs VERBAL (m-flo/PKCZ)
05.Bumps In The Night / MIYAVI vs Masato (coldrain)
06.No Thanks Ya / MIYAVI vs ちゃんみな
07.Flashback / MIYAVI vs KenKen (LIFE IS GROOVE, RIZE, Dragon Ash)
08.All My Life / MIYAVI vs HYDE
09. Forget You / MIYAVI vs シェネル
10. Slap It / MIYAVI vs 雅-MIYAVI-

「世界には、エリック・クラプトン、BBキング、ジョン・メイヤー…素晴らしいギタリスト達がいる中で、ずっと、いちアジア人である俺が西洋の楽器ギターを弾く意味みたいなものを考えてきました。そして“日本のギター”である三味線に辿り着いたんです。三味線のように一音一音にパッションや衝動を込めるスラップ奏法に辿り着いてから創ったのが、『SAMURAI SESSIONS vol.1』だった。三味線の上妻宏光さん、フラメンコギターの沖仁さん、KREVAさん、細美武士君らが参加してくれて、僕のギターとぶつかり合った摩擦や情熱をパッケージしたものが最初でした」

「アメリカで活動していて、ジャネット・ジャクソンのリズムネーションを作ったジャム&ルイスってプロデューサーと仕事をさせてもらった時に「MIYAVI,Melody is the king(MIYAVI、メロディーこそが王様なんだ)」と言われました。彼はその言葉をマイケル・ジャクソンから聞いたと言っていました。その時はスラップしか知らなかったから分からなかったんですけれど…」

「それから時を経て昨年2016年発表したアルバム『Fire Bird』あたりから少しずつ、スラップ奏法のリズム・パーカッシブというものから、ギターでメロディを奏でるということに意識をし始めました。“ギターで歌う”ということで“翼を得る”というか、何か解き放たれた感覚を得て。それで、ハーモニーと旋律をギターで奏でる尊さを感じられるようになりました。そして今回、他のアーティストたちと、ぶつかり合うようなものじゃなくて、共に奏でて、1つのハーモニーを創るっていうことに焦点を当てたのが『SAMURAI SESSIONS vol.2』。だから今回は主にシンガーとの対戦になっています」

10人のシンガーとの競演

その1つのハーモニーを創るにあたり今回のセッション相手に選んだのが、自身『雅-MIYAVI-』を含むアーティスト10名。MIYAVIは、「アルバム全曲を通して、MIYAVI一人じゃ到達出来なかった境地に辿り着くことが出来たよ」と語る。参加アーティストたちから届いているコメントを紹介する。

「海外では、初めて会った人とでもJAMることで分かり合うのって、ごく自然な行為なんだよね。俺たちミュージシャンの仕事は、音を使って多くの人に伝える仕事だから、言葉に出来ないもどかしさも、音楽で分かり合うことで解決できる。今回、ホームグラウンドの日本のアーティストとやってみたくて、今、自分が日本で一番アツいと思う人たちにオファーをさせてらいました」(MIYAVI)
01.Dancing With My Fingers / MIYAVI vs 三浦大知

iTunesロックチャート1位を獲得した本アルバムのリード曲。

「デモが届き「Dancing With My Fingers」というタイトルを見て音を聴いた瞬間に、これは2人でしか作れない最高の一曲になるだろうと確信しました。Liveや番組で一緒にパフォーマンスをさせていただく度にMIYAVIさんのギターで歌い踊るのが毎回楽しかったので、遂に2人のオリジナルを作る事が出来て嬉しいです。沢山の人の耳に心に届く事を願っています」(三浦大知)
「Dancing With My Fingers / MIYAVI vs 三浦大知」Music Video
02. Gemstone / MIYAVI vs SKY-HI

「出会いはラジオでのフリースタイルセッションでした。アドレナリンが止まらなかったこと、熱が迸ってどこまでも行けそうな感覚に侵されたこと、今でも昨日のことの様に覚えています。それからずっといつか楽曲をやり合いたいサムライがMIYAVIさんでした。以前のフリースタイルの様なお互いを斬り合う形でなく、隣り合う形で共に戦えたことを心から誇りに思います!今後の自分のキャリアの中でも大切な一曲ですし、また刃を交えられる日を心から楽しみにしています」(SKY-HI)
03.Fight Club / MIYAVI vs EXILE SHOKICHI

「リスペクトするMIYAVIさんに誘って頂き本当に燃えました!!一緒にスタジオに入りMIYAVIさんのソロを聞いた時には魂が震えまくりでした!!そして自分が乗せたトップラインが完成した時にはまったく新しいものに仕上がっていて自分の音楽にさらなる広がりを感じられて楽しいセッションでした。本当に感謝しています!!」(EXILE SHOKICHI)
04.Banzai Song / MIYAVI vs VERBAL (m-flo/PKCZ)

「仕事も遊びも1000%の熱意を注ぐMIYAVI!兼ねてから曲を作りたいと思っていましたので、数回に渡ったスタジオセッションは想像以上にクリエイティブで、お陰様で予想外の楽しくカッコイイ楽曲が出来ました!アルバムの出来上がりも楽しみです!」(VERBAL)
05.Bumps In The Night / MIYAVI vs Masato (coldrain)

「もうボーカリストとかいらないでしょ!って思うアーティストの楽曲に声で挑む。これほど気持ちがいいチャレンジはありません。ライブを共にする中で密かに生まれていたMIYAVI × MASATOという野望を最高の楽曲で叶えることができました。またすぐやりたいです。欲深くいきます。また呼んでください!!」(Masato)
06.No Thanks Ya / MIYAVI vs ちゃんみな

「MIYAVIさんがお兄さんみたいに接してくれたので楽しかったし、やりやすかったです。お互いにリスペクトの気持ちを持ちながら制作できたんじゃないかなと思います。「Pain」をテーマにというお話を頂いたので、自分なりの「Pain」が詰め込まれた楽曲になりました」(ちゃんみな)
07.Flashback / MIYAVI vs KenKen (LIFE IS GROOVE, RIZE, Dragon Ash)

「気づけばもう古くからの仲間だ。いつも刺激を共有できる仲間がいるというのは、音楽家にとって、大変幸せな事の一つです。さて、これを機にもっといっぱいやりましょうよ。世の中を刺激で埋め尽くそう」(KenKen)
08.All My Life / MIYAVI vs HYDE

「彼と楽曲を作るならみんなで歌えるような作品が良いなと思い、僕がアイディアを送ったらどんどん彼がアレンジしてほとんど原型がなくなったかな笑 芸術を追求する本物のアーティストって感じ。見習わないとな〜」(HYDE)
09.Forget You / MIYAVI vs シェネル

「唯一無二のMIYAVIさんと一緒に作品を作ることができて、本当に楽しかったです。たくさんの人に共感してもらえる、と同時にキャッチャーでクラブっぽい、そんな曲を作りたくて、出来たと思います!世界中に楽しんでもらえたら嬉しいです。私を誘ってくれてありがとうMIYAVI!あなたのアートに参加させてもらうことができて、Happyです!」(シェネル)

HYDEとのエピソード「キャッチーであれ」

その中でも特に思い出深かったのは、HYDEとの『All My Life』だと言う。HYDEとのエピソードを紹介してくれた。

「HYDEさんとのセッションのスタートは、自分もよく創作しているLAのスタジオに彼がたまたま来ていて。それから連絡をするようになって、今回オファーさせてもらいました。「みんながキャンプファイヤーでみんなが歌えるような曲にしたい」と聞いて、彼の中の”キャッチーでありたい”っていう大きなこだわりを感じたんです。

キャッチーであるというのは、逆に俺にとってはすごく斬新で、自分のアイデンティティとキャッチーさをどう共存させるか試行錯誤しました。HYDEさんから弾き語りをしているビデオが送られてきて、それを基に作って、ギターリフも3、4回書き換えて…。聴いてくれる人、応援してくれる人に、新しい景色を見せるのが俺たちアーティストの使命だと思っているので、そこにどう斬新さを入れ込むか?その結果生まれたのが今回の楽曲『All My Life』だった。創り手として、キャッチーさの中に、アバンギャルドさを共存させるために、すごく考えさせられた作品でしたね」

もう1点印象的だったのが“MIYAVI自身”との対戦だ。このラインナップに自分とのコラボを組み込むことに特別な想いがあったようだ。

10. Slap It / MIYAVI vs 雅-MIYAVI-

「『雅-MIYAVI-』とのセッションは、自分のシグネチャースタイルであるスラップと、進化している過程である、現在進行形のMIYAVIが対峙して、どう共存していくのかを試してみたかった。海外に飛び出した時期、スラップ奏法を駆使して作った『WHAT’S MY NAME?』という楽曲は、MIYAVIの名刺代わりでもあったので、今回、改めて『WHAT’S MY NAME?』のような“自分を表現する楽曲”を今の自分が作ったという感覚ですね」
『WHAT’S MY NAME?』Music Video

MIYAVIからのメッセージ「自分自身にときめかなくなったら終わり」

ミュージシャンを志す前のMIYAVIがセレッソ大阪のジュニアユース選手であったのはよく知られている話だ。サッカー選手を志した少年が怪我により挫折し、ギターと出会う。ヴィジュアル系バンドから始まり、ソロアーティストになり歌いはじめ、スラップのパフォーマンスにスタイルが変わり、海外に拠点を移し…今は唯一無二のパフォーマンスが世界で評価されている。これほど“変化”しているミュージシャンも珍しい。MIYAVI本人もたびたび「自分をリセットした回数なら負けない」と語っている。新しい自分を生み出し続ける、そのエネルギーの源とは

「もちろんショービジネスではあるから、ファンの人たちがMIYAVIに想い描くものを届けるのは1つの責任ではあるけれど、そこだけじゃなくて夢や目標など、新しい景色も見せてあげたい。最近だと、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の人たちと一緒に仕事をさせてもらったりもしているんだけど、世界には生まれた理由も知らずに、考えるチャンスすらもらえずに死んでしまうような子どもたちがたくさんいる。

今日生きるか死ぬかの世界を目の当たりにしてしまったら、俺たちが日々悩んでいることなんて、本当にくだらない。もう、どうでもいいといっていいくらいに思う。そういう意味では日本は“生きるということ”にすごく恵まれているんだなって感じます」

アンジェリーナ・ジョリーからのオファーでハリウッド映画『不屈の男 アンブロークン』に出演。彼女とのつながりでUNHCRの人道支援活動をするようになったMIYAVIは、「知ってしまった以上はやるしかない」という。一見音楽とは異なる分野に思えるが、そこにボーダーラインはないようだ。

「自分には、2人の娘がいて、家族がいて、仲間がいて、平和な世界で音楽が出来ている。音楽って、平和じゃないと出来ないんですよね。目の前で殺し合いをしている世界じゃ、音楽は出来ない。でも、もしかしたら音楽で止められる争いや殺し合いもあるかもしれないじゃないですか。例えばの話ですが、もし“世界中の人”が俺の音楽のファンだったら、俺の音楽で殺し合いは止められるかもしれない。そこに少しでも辿り着くために、今は挑戦していきたいです。自分自身にドキドキ出来なくなったら終わりだと思うから、変わることを恐れたくはない」

いつの時代も日本は世界の一部

アーティストとしての目標とか夢は無いと語るMIYAVIだが、『音楽は国境を超える』ことを示す存在を目指している。最後に、MIYAVIから、日本の男達へのメッセージをもらった。多くの日本人にとっては“海外”や“世界”はまだ遠い存在かもしれないが、「日本も“世界”の一部」だという。

「日本って今、変革期に来ていると思っているんです。ここから日本の男たちが、経済的な成功だけじゃなくて、精神的な豊かさを踏まえて、もっと強くなれるか。世界の中に日本という国があって、その中で自分たちは生まれ、育っていることを意識すれば、この国はもっと変わることが出来るはず。

いつの時代も世界の中に日本がある。日本人はそこで日々闘っていくべきです。今、このタイミングだからこそ、世界に対して日本人として堂々と胸を張っていけるチャンスなんですよね。もちろんそれは、仕事の大小は関係なくて、目の前の仕事に打ち込んでいれば、自ずと見えてきます。とにかく、今、自分にやれる事を120%でどんどんやっていって欲しいです」

(取材・文 / 大原絵理香、加藤由盛)
(写真 / RYUGO SAITO)
  • (写真左)初回限定版、(写真右)通常版

    (写真左)初回限定版、(写真右)通常版

Information
「SAMURAI SESSIONS vol.2」
11月8日リリース
初回限定版(CD+DVD)税抜5000円
通常版税抜3000円

<初回限定版DVD収録内容>
Dancing With My Fingers / MIYAVI vs 三浦大知 Music Video 監督:三池崇史
「MIYAVI 15th Anniversary Live“NEO TOKYO 15”」ライブ映像5曲
「MIYAVI 15th Anniversary Live“NEO TOKYO 15”」ドキュメント映像

<CD収録曲>
01. Dancing With My Fingers / MIYAVI vs 三浦大知
02. Gemstone / MIYAVI vs SKY-HI
03. Fight Club / MIYAVI vs EXILE SHOKICHI
04. Banzai Song / MIYAVI vs VERBAL (m-flo/PKCZ)
05. Bumps In The Night / MIYAVI vs Masato (coldrain)
06. No Thanks Ya / MIYAVI vs ちゃんみな
07. Flashback / MIYAVI vs KenKen (LIFE IS GROOVE, RIZE, Dragon Ash)
08. All My Life / MIYAVI vs HYDE
09. Forget You / MIYAVI vs シェネル
10. Slap It / MIYAVI vs 雅-MIYAVI-

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