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人生を楽しむためのヒント 俳優・斎藤工

さまざまな分野で活躍する大人の男の「こだわり」に迫る連載企画。
ドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(2014年、フジテレビ系)で主婦と恋に落ちる教師役でブレイクし、活躍中の俳優・斎藤工。仕事がほとんど無かったという頃の自分と基本的に心根は変わっていないという彼に、仕事へのこだわりや人生を楽しむコツを聞いた。

“不安”があるからこそ人生は楽しい

「役者はタイムカードが無い仕事なので、オンとオフの区切りが難しいんです。もちろん撮影前に衣装を着たりメイクして準備はするのですが、その他のいろいろなものを背負って本番に臨むのは良いことではないと考えています。オフと言われる時間の積み重ねが仕事に繋がってくると思うので、オン(仕事中)をいかにオフっぽく過ごすかというか」

例え本番であっても遊び心を持ちながら撮影に挑むこともあるという。芝居が好きなあまり、仕事中もインプットの時間として捉えているようだ。そんな中で、自分を客観視する法則性を見つけたと明かしてくれた。

「不安が全くない状態というのは、決して健康的ではないんです。ポジティブなことが起こりすぎると、逆に不安になったり次に訪れるであろう不幸に対して構えてしまう。良い状態の時に100パーセント楽しめないのは、“100点満点”でははこれ以上良くならないと思うから。でもそんな風に思うことは嫌じゃないというか。プラスとマイナスのバランスって世の中にはあると思いますし、そんな法則性を見つけてしまったせいで…ハッキリ言ってこじらせていますし社会不適合者です(笑)」

“こじらせている&社会不適合者”などと自分のことを笑ってみせるが、彼は役者だけじゃなく映画監督としての顔も持つ多才な人物である。

「2014年に、あばれる君主演で『バランサー』という映画を撮ったんです。若くして売れて美人の彼女もいる良いこと続きの芸人が、その反動でそのままだと母親を亡くしてしまうという話で。人生の幸不幸のバランスを司る職業の人をバランサーと呼ぶ設定の物語なんですけど、それは先ほどお話ししたある法則性によってできた映画と言えるかもしれません」

良いことがあると悪いことが起こるかもしれないという不安に苛まれる。ところがそういった不安は彼にとって必要なものであり、だからこそ不運が起きた時でさえも楽しんでしまえるのではないだろうか。

「常に安定しないように“カウント2でスカす”みたいなことをし続けて、不安な状態をあえて保つようにしています。仕事が無い時代が長かったので、その頃の状態を基本的に忘れていないというか。そこから心根の部分は変わっていなくて、いつそこに戻ってもおかしくないなと。自分自身で“こういう商品です”“斎藤工の特徴はこうです”といったイメージをなるべく持たないようにしなきゃなと思っています」

良い状態の自分におごることのないよう、自制する控えめさが見て取れる。役を演じる前の状態はできるだけフラットにしている彼だが、役が決まればそこにはこだわりが生まれる。

細部にまで思いを込める職人気質

「どんな服を着て何を身につけるかというのはキャラクターがでるので、僕は衣装合わせの時に演じるキャラクターに合わせた服装やアクセサリーを身に付けて行くようにしています。もちろん作品にもよりますが。するとスタッフさんから『それ使ってもいい?』と、僕が着ていった服やアクセサリーがそのまま劇中で使われる場合もあります。

サラリーマン役だったとしても、どういう形の襟のワイシャツなのかなど衣装を突き詰めるとちゃんと意味が出てくるんです。そういった衣装やアクセサリーに自分なりの意味を持たせていくことは、役の本質的な部分にも近づいていくことなんじゃないかなと思うんです。例えばヒゲを剃れない過酷な環境の中で何日も生活している設定の役なのに、ヒゲもなくツルツルの顔で迫真の演技をされると興ざめしてしまいますよね。ビジュアル作りも役作りの一環だと思うんです」

視聴者も気づかないような細部の作り込みに、リアリティの追求が感じられた。そんな彼が大事にしているという“相棒アイテム”を見せてもらうと、シンプルでどんな洋服にも合いそうな木製のピアスだった。

「5、6年ぐらい前から愛用していて、僕が載っている雑誌を見るとほとんどこのピアスをつけていると思います。実はこのピアスも劇中でつけたことがあります。これをつけていると何故か落ち着くんです。金属だとかぶれたりしますし、メタリックなものよりもウッディなものが好きで。体の側に木を使ったものがあるというのは体質的に合うのかもしれませんし、ここでもバランスをとっているような気がします」

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