(更新:)
ORICON NEWS
美しい「雨の風景」を愛でる
雨の風景の魅力:佐藤秀明
「雨の風景を撮る動機になったのは、突然降り出した雨に仕事を中断して眺めたこと。雨がとても美しかった。日本は一年の半分はどこかで雨が降っている。それを指をくわえて眺めていては損ではないだろうかと考えた。
雨の写真を撮り歩くということは、果てしなく歩き続ける事だ。出かける度に新しい雨に出会うので、これで終わり、ということがない。窓からぼんやり雨を眺めている時でさえ、雨は僕にささやきかけてくる。“さぁ、撮りなさい。向こうにももっと良い雨がありますよ、さあカメラを持って出かけなさい”
雨の日は、乾いていた時には見えなかった美しさや生命力が、雨に濡れる事で生き生きとして見えてくる。日本の風景には雨がとても似合うし、200以上もの雨の名前がある。昔の浮世絵に雨を描いた作品があるように、雨の写真があってもいい。撮り始めてから5年程経ってから本ができた。その後も雨の風景の撮影を続けている」
雨空が晴れたその雲の隙間から大地と空を繋ぐような美しい七色線が顔を出した。
写真家。新潟県出身、1943年生まれ。NYで活動を始め、70〜80年代はサーフィン雑誌で活躍する。その時培った自然観をベースに、北極、ヒマラヤ、エベレスト、アラスカなど自然の美しさを伝える写真を数多く発表している。日経BPの連載、椎名誠や夢枕獏など作家とのコラボレーション経験も。『雨のくに』『ぼくはこうしてカメラマンになった』など著作多数。