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『夏の夜は宙(そら)を見よう』01 星景写真家の「心に残る星空絶景」5選

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宙(そら)の楽しみ方は人それぞれ。満天の星をただただ眺める人、天体を観測する人、宇宙科学に惹かれる人。星景写真家・武井伸吾氏は、“星空のある風景”に魅了されたひとり。そのこだわりは、星空とその下に広がる自然の美しさや神秘を写真に切り取るというもの。まだ見ぬ“星空絶景”を探して、日本中、世界中の宙を見上げ続けている。そんな武井氏が、これまでにもっとも心を奪われた“星景”5つがこちら。
心に残る星景01『楽園へ』
―乗鞍岳 畳平〔日本・岐阜県〕
長野県と岐阜県にまたがる、標高3,000m級の山々が連なる乗鞍岳(のりくらだけ)。高山植物が咲き乱れ、雄大な山の頂きに囲まれた火口原・畳平(たたみだいら)で撮影された一枚。

「月明かりに照らされた、高山植物のお花畑。雨まじりの不安定な天候の夜、わずか1時間半だけ晴れてくれ、この光景に出会うことができました。月齢、花期、そして天候…複数の要素が揃って撮ることができた幸運の一枚です」。
心に残る星景02『星のなる樹』
―ウィリアムズ〔オーストラリア・西オーストラリア州〕
オーストラリア大陸の左下に位置する小さな街、ウィリアムズ。牧場の中にぽつんと1本だけ立つ木に魅せられて、撮影した一枚。

「昼間のロケハンで見つけた、葉をつけていない、名もなきこの弧樹の佇まいがとても気になり、夜になって行ってみました。ちょうど天の川の一番明るい部分が昇ってきたタイミング。“枯れ木に花”ではないけれど、“枯れ木に星”を咲かせてみました。僕は樹々と共に星空を見上げるのが好きなんですが、この樹も一目で気に入ってしまいました」。
心に残る星景03『冬空のベール』
―フェアバンクス近郊〔アメリカ・アラスカ州〕
オーロラベルトに位置する街、アラスカ州フェアバンクス。儚いオーロラと夜空に輝き続ける星たちの一瞬の共演を収めた一枚。

「オーロラがブレイクアップすると、その発光体は激しく舞いながら広がり、北の空からみるみる頭上を越えて南の空にまで達しました。マイナス40℃の極寒の中でしたが、寒さも忘れ、夢中でシャッターを切りました」という。「緯度が変わると、見慣れた星座も位置が異なって見えます。この写真では、冬の星座としてお馴染みのオリオン座が、日本で見るよりも低い位置に見えていますね」。これも世界中のあらゆる場所で星空を見る楽しみのひとつ。
心に残る星景04『星空に抱かれて』 
―南都留郡 山中湖村〔日本・山梨県〕
富士山の麓、山中湖畔の街の灯りと、無数の星の輝きが幻想的な一枚。眠りながら漂う白鳥の白さが印象的な、奇跡のような一枚。

「雪と星をいただく富士山。凪いだ湖面には、逆さ富士と冬の星々がきれいに映り込んでいました。絵的にはそれだけでも十分なのに、この晩は5羽の白鳥たちが目の前にやってきてくれました」。
心に残る星景05『星の生まれる場所』 
―ナンバン国立公園〔オーストラリア・西オーストラリア州〕
オーストラリア西海岸。インド洋に面した海辺にあるナンバン国立公園。その砂漠に立ち並ぶ、風化してできた岩の塔“ピナクルズ”と星空を収めた一枚。

「“荒野の墓標”と呼ばれるピナクルズ。非日常な空間に佇んでいると、どこかよその惑星に立っているかのような錯覚を覚えました。ワイルドな風景でお馴染みの場所ですけど、あえてファンタジックに描きたいと思いました」。“この地から星が生まれ、宙へと還ってゆく”そんなことを空想しながらシャッターを切ったという。
星空の魅力とは―
「地球上のどこへ行っても変わらない“安心感”」
星空写真を撮ること20年近く、様々な星景を切り取ってきた武井氏。星空を追い求め続ける理由とは。
「星空はいつも見上げればそこにあります。そこには、子供の頃から見慣れた星の配列があります。それは場所が変わっても同じこと。知らない土地に行っても、たとえそれが海外であっても(緯度によって見える領域の違いはありますが)、見上げれば見慣れた星座たちが輝いてくれています。その安心感こそが魅力であり、飽きもせず星空を追い続けている一番の理由だと思います」。
Profile
星景写真家
武井伸吾(たけい・しんご)
1969年神奈川県川崎市生まれ。小学生の頃より星空に親しむ。1997年、極寒のモンゴルで皆既日食とヘール・ボップ彗星(C/1995 O1)を見たのを機に天体写真撮影を始める。1998年頃より天文雑誌等に作品を発表。現在は、“星と人とのつながり”をテーマに星景写真(星空のある風景写真)を中心に撮影。星空の持つ“温もり”を描き続けている。著書に写真集「星の降る場所」「星空を見上げて」(ピエ・ブックス刊)がある。
公式サイト:takeishingo.com/(外部サイト)
(取材・文/駒場 彩佳)
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