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(更新: ORICON NEWS

篠山紀信「 “時代”と併走し続ける」

時代と共に生き、時代が生んだ面白いものを切り取り続けたい

今の話も、昔の話も、篠山のエネルギーはデビュー当時とは変わらないのでは…と思う程、力強い。写真家として50年ずっと第一線で活動する篠山は、「どうしてそんなに長く活躍できるのか」とよく尋ねられるという。

「僕は、世の中に起こった、時代が生んだ面白い人、コト、モノを、そういうものを撮っているだけ。時代が面白いモノを生んでくれるから、僕は、そういうときに、一番いいタイミングで、一番いい場所から、一番いい瞬間の写真をバッと撮っていきたい。写真は時代の写し鏡だと思っているからね。だから、僕の身体が時代と並走できる力があるうちは、どんどん撮っていくよ」

時代とともに生き、時代に合ったやり方でアプローチしていくことが大切だとも語る篠山。撮影スタイルも時代に合わせて変化している。

「デジタルカメラが出たとき、僕は面白いと思ったね。写真は生まれて180年しか経ってないけど、大きな変革は今までいくつかあった。その中で一番大きいのが、デジタルの登場だね。それまでケミカル、化学だった写真が、電気信号の集合になった。これは写真界では、天地がひっくり返るぐらいの大きな出来事でした。なので今更、大きなカメラでもってガラスカンパンを作って、ウジェーヌ・アジェ(フランスの写真家)みたいな写真を撮りたいというのは、僕はナンセンスだと思いますね。今の時代を撮るなら、今の時代のカメラで撮るのが当然でしょう」

「それフィルム?」。取材陣が「デジカメです」と答えると、「フィルムで撮ったら怒るよ。オレはデジカメじゃないと写らないからね」と、フランクにつっこむ篠山先生の言葉に、現場は笑い声が溢れた。力の限り並走している篠山は、時代に合ったやり方を日々追求していた。

読者へメッセージ 「足りないことに対して飢餓感を持て」

「僕が写真家としてデビューしたのは60年代。今よりはるかに日本は貧しかったけど、みんな元気だった。日本が足らないものに対して、飢餓感があったんだろうね。例えば60年代、69年がとても象徴的な年なんだけど、芝居で言えば、寺山修司がいたり、唐十郎がいたりする一方で、文学では三島由紀夫がいて、澁澤龍彦がいて、それが新宿の場末のバーに行くと、みんなが一緒になって酒を飲んでたりしていた時代。最後はみんなでケンカするんだけどさ(笑)。みんなガツガツしていて、エネルギーが溢れてた」

時代が面白いものを生む。僕はその純粋な良さをカメラに収めるだけ。今はたまたまいい位置から撮ることができていると語る篠山。欅坂46など人気アイドルの撮影も担当している彼が、今、一番面白いと思う被写体、場所はと問いかけてみた。


「そんな大事な事、教えるわけでないでしょう」



御年75歳にして気持ちはまだ貪欲な挑戦者のまま。イマジネーションは無尽蔵のようだ。


(取材・文 / 綱島深雪)
(写真 / RYUGO SAITO)
information

写真集『快楽の館』
2016年9月2日発売、B4変型判全104ページ。3780円/講談社



『篠山紀信展 快楽の館』
Kishin Shinoyama, La Maison de rendez-vous
開催日時/2016年9月3日(土)〜2017年1月9日(月・祝)
開催会場/原美術館(東京都品川区北品川4−7−25)
電話番号:03-3445-0651
開館時間/11:00〜17:00
(祝日を除く水曜は20:00まで/入館は閉館時刻の30分前まで)
休館日/月曜日、(祝日にあたる9/19、10/10、1/9は開館)、9/20、10/11、年末年始(12/26〜1/4)
入館料/一般:1,100円、大高生:700円
公式サイト:http://www.haramuseum.or.jp/(外部サイト)

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