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(更新: ORICON NEWS

[Leader’s Voice] SHOWROOM代表取締役社長 前田裕二氏「残るために必要なのは、腕力でも知性でもなく、適応力」

タレントの人気を詳細に分析・レーダーチャート化 マネジメントに活用できる可能性も

――とはいえ最初は配信方法やノウハウなどもわからないと思います。どのようにSHOWROOMを活用すればよいのでしょうか。

「ファンをどうやって獲得していくのかを記載した、“配信虎の巻”を作っています。項目と詳細をまとめたTO DOリストのようなものを1000個くらい。まだ作っている最中なのですが、ベースになるのは、配信者のサービス利用状況や、ファン獲得状況に関する定量的な分析です。ギフティングをしてもらうために何が必要か、というノウハウブックですね。また、売上を伸ばすために影響の大きな変数を出し、十数項目のレーダーチャートにして、とるべきアクションを明確にしたりもしています。

例えば、配信者のライブの時間や1時間あたりのギフトの数、コメントを書いているユーザー数、フォロー増減などを可視化していて、偏差値を学校の通知簿のように5段階評価に落とし込んで、誰でも理解しやすくしてあります。これらは、マネージャーが演者をケアする労力をサポートする意味もあります。例えば、100人のファンが300人になるタイミングにおいて、最初の100人をないがしろにしてしまうような事態がままおきます。それが数値に現れる。それを受けて、一例ですが、初期ファンに感謝の手紙を送ってみたら、といったアドバイスをオーガナイザーのほうがすることもあります。データを元にすることで、芸能事務所から演者への助言の説得力を増すことできるわけです」


――スマホを用いたVR 体験ができる「SHOWROOM VR」を導入し、こちらも好評だとうかがっています。
「アバターで仮想空間に入り、そこに自分がいるという疑似感覚を味わうことは、VR の本質である「プレゼンス(そこにいるという感覚)」と共通します。その点で、「SHOWROOM」の没入感覚をより推し進めたものが、「SHOWROOM VR」と言えます。この新しい機能によって、ギフティング自体の楽しさが増したり、配信者それぞれに個別にギフティングしている感覚が増すので、結果としてマネタイズにもしっかり繋がっています。

最新のバージョンでは、ユーザーの視点移動をリアルタイムに検出して、最も視線が集まっている場所を表示する「ヒートマップ」という仕組みも実装しました。より精緻にユーザーの行動をトラッキングして、コンテンツ作りにフィードバックしていくことで、ヒット創出の成功確度を高めていきたいですね」

――次々に新機能や新しい展開を投入していくというのは、やはり競争優位性を確保し続けるための方策ということなのでしょうか。
「重要なのは変化に対応すること。今は共感とか、ストーリー、感情移入、体験価値がキーワードと言い続けていますが、1 ヶ月後には全然違うことを言い出すかもしれない(笑)。淘汰されるのは変化に対応できなかった種。生き残るために必要なのは、腕力でも知性でもなく、適応力だと思います。無用なプライドより、もっと優先されるべきことがないか、いつも自分自身と対話しています。

SHOWROOMが事業会社である以上、しっかりと収益を成長させていかねばなりません。そのためにも、明確なマネタイズのモデルを作り、それをロールさせていくことの優先度を高く考えています。売上のことはいったん置いておきましょう、という発想は苦手です。ビジネスである以上、マネタイズ可能性及び、再現性を備えていなければならないのですが、エンタテインメント業界はそこの確立が弱いかなと感じます。再現性が低いがゆえに、過去の成功モデルに固執して保守的になってしまう傾向もある。先ほど話したデータ分析も再現性を高めるための手段なんです。

タレントを束ねる事務所さんなども、「SHOWROOM」のノウハウを使えばヒットの確率を上げ、より安定的に収益化できる可能性があります。安定した収益さえあれば、ある種のリスクを取った投資なども可能になり、新たな才能を開拓する動きも生まれるかもしれない。「SHOWROOM」自体、既存メディアではすくいきれない才能・タレントをユーザーが直接支援し、開花させるための仕組みでもあります。エンタテインメント業界全体の底上げにも繋がるはずと自負しています」

(『コンフィデンス』2016年8月29日号の内容を加筆修正して掲載)

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