OLIVER

織田裕二「幸せになることだけを考えている」

CULTURE

生きることの幸せを実感した

「唯一、修治が妻に愛を伝えることができたのが妻の手を握りながら“お願いがあるんだけど”と言うシーン。冬場の撮影だったのですが、僕はちょうどそのシーンの撮影直前に風邪をひいてしまったんです。でも、修治も弱ってきた頃だし風邪が治らなくても大丈夫かなと思って(笑)。というのは冗談ですが、誰かにうつしたら悪いから、本番まで外で待機していて。するとだんだん手が冷えてくるんですよね。病人の手は冷たいイメージがあるじゃないですか。なので本番でも僕の手は冷たいままにしていました。そして、吉田さんが演じる妻の手を握った瞬間、あったかく感じて“生きるってこういうことだ”と心から思えたんです。同時に彼女の優しさや愛情がその温もりから伝わってきました。今でも僕の中でこのシーンの撮影が凄く印象に残っています」

さらに今作にはもう一人重要なキャラクターが登場する。修治が妻の結婚相手として見初めた伊東正藏だ。“ボクの妻と結婚してください。”と修治から奇想天外なお願いをされる伊東を演じた原田泰造についても織田はこう語った。
「伊東はパーフェクトな男ですが、泰造さんが見事に演じてくださいました。完璧ながらも、嫌みがなくちゃんと地に足がついた男を演じてくださったというか…。ちょっと独特の間だったり言い方だったり工夫して伊東というキャラクターに現実味を与えてくれたんです。おかげで僕も伊東さんのことを本当に素敵な人だと思いながら演じることができました」

たとえ完璧な男性を見つけたとしても、いくら愛する家族の未来のためとはいえ、妻の結婚相手として認めることができるだろうか…?織田個人として、余命を宣告されたとしたらどうするか。そんな疑問をぶつけてみるとーー

「僕は修治の考え方になんの疑問も持たなかったです。選択肢のひとつとしてアリだなと思いました。亡くなったあとも修治って人懐っこい笑顔でひょっこり現れそうだし、現実感のないようなところもあるんですよね。最後まで苦しい姿をあまり見せないですし。でもそれこそがこの作品の良さでもあるので、もし自分が修治だったらなんて考え方も吹き飛ぶぐらい説得力のある話なんだと思います」
仕事にも責任が増え、父親になり、公私共に忙しい日々を送る、世の働き盛りの男性たち。演じながら「涙が止まらなかった」と織田が語るのは、家族愛・仕事愛を描いた本作が俳優としてだけではなく、一人の男としても心が揺さぶられたからではないだろうか。

「世の中の出来事を“楽しい”に変換するのが放送作家だ」という信念で仕事をしてきた修治。本作は死の間際まで自分の仕事=企画屋であることに誇りを持ち、一世一代の大企画を“楽しく”やりとげるという「仕事人を描いた作品」でもある。では個人としては、世の中の出来事をどのように“楽しんで”生きているのだろうか。

「人生は一度きりだ」と強く語る、織田裕二流の人生の楽しみ方とは。
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