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長渕剛、歌の根源は「人が生きる幸せを歌にして残したい」

CULTURE
 5年3カ月ぶりのニューアルバム『BLACK TRAIN』を8月16日にリリースした長渕剛。オリコンの独占取材に応じ、「冴えないガキだった」という少年時代のギターとの出会いや「楽しむ余裕がない」ライブへの想い、歌に込めるメッセージ性について語ってくれた。


■冴えなかった少年時代、歌う事が生きることになった

――長渕さんが歌うことになったきっかけは?

 「コレ(ギターを弾くジェスチャー)しかなかったんだから。冴えないガキだったのよ、俺(笑)。ダチや先輩たちはみんなカッコよかった。俺はガキの頃はバスケットに明け暮れてさ。先輩たちを見て“あんなふうになりたいなぁ”って思っても俺は試合に出れなかった。それでレギュラー部員のためのカルピスばっか作っているんだよ。3年間カルピス道を貫き通したんだよ(笑)。その当時はそこに何とか自分の存在を見出した。それくらい冴えないガキだったわけ」

 「そんな時に巡りあったのがギターだった。ギターを手にして“これで勝ち上がれるぞぉ!!”って、たった4つのコードでそういう風に思えた。それからは毎日毎日歌を書き続けて、僕という存在を誰かに分かってほしかった。俺、今すげえつらいんだよ。先輩に理不尽にぶっとばされたんだけどさ、お前聞いてくんない?っていうささやかな出来事も4つのコードで歌ってた。隣のソイツ、目の前のオマエ…その相手がだんだん増えていったということ。僕の中ではあの少年時代の僕と目の前のアイツ、”君と僕”というスタンスは今も変わっていないですね」

 ――ギターとの出会いによって、音楽がアイデンティティーになったと。しかしながら、「作曲する」というのは、「ギターを弾く」のに対してもっと大きな壁があるものだと思うんですが?

 「もっともっと悲痛だったんだな(笑)」

 ――アーティストは自分の引き出しを開け続けて、苦悩や想い、自分をさらけ出してある意味まる裸になっていく側面もあります。引き出しを開けても開けてもまだ出てくる、“歌の根源”はどこにあるのでしょうか?

 「それもギターですよね。少年時代に、存在することがギターを弾くことになった。“人から与えられた歌”を歌うわけじゃない。歌が生きていることと一緒ですから…歌わなくちゃ死ぬわけでしょ。だから…必死に“何を自分が歌いたいのか”ということを探すんだよね。10代で歌を選んで、母からは帰ってくるなと言われ、親父には殴られてね。その掟を守って最後まで歌い抜く覚悟があれば、1回や2回死んだってどうってことないって思うんだ。魂を持って、巡り会った仲間がいて、そして、歌に想いを託していく。だから、歌が無くならないんですね、きっと」
 

■人が生きる幸せを歌にして残したい

 ――そうして生まれた長渕さんの曲は、普遍的な人間の営みのように『変わらないもの』と時代や社会などの『変わっていくもの』を歌っている印象です。歌のテーマはどのように決めているのでしょうか。

 「普遍的というのは、誰が作ったのか分からないけれど、ふいに口ずさんでいるメロディーだったり、歌だったり。「赤とんぼ」なんかは、僕もふいに出てくるよね。夕焼けを僕らが見た時に、「一日終わったな」「むこうにポツポツと明かりが灯ってきたな」「あそこにもひとつの暮らしがあるんだな」と夕焼けの時はしみじみと考えるよね。夕焼けを見て“人をぶっ飛ばしてやろう”という気持ちにはならないよね?(笑)。夕焼けを見て「明日も頑張ろう」と思う、そういうことが普遍的なことだったりするんじゃないかな。

 「でも、その普遍的なことは、実は“変わるもの”なんだ。ここにあるギブソンのギター、カスタムしたエレキ、たった一人の姉、子どもたちがいることの幸せ、友と語らう時間…。毎日自分が同じことをやっていると感謝の気持ちがなくなって当たり前に思えてくる。当たり前にそこにあることの幸せが分からなくなることが嫌なんだ。だから歌を書いて残さなきゃと思う。変わってしまうことを歌うのは簡単ですよ。オラァ!って怒ればいいんだから(笑)」


■ライブは観客との魂のぶつかり合い、“楽しむ”余裕はない

 ――そんな風に、ずっと真剣に自分というもの、言葉というもの、音楽というもの、社会というものを考えてこられた長渕さん流の楽しく生きるコツとは?

 「楽しくないよ(笑)。違う人生を歩みたいね」

 ――誰よりも楽しく、自分らしく人生を歩んでいる印象ですが。

 「10代の自分が目指した夢、こう生きるんだ、って決めたことをやり続けるのはつらいことがあるんだよ。楽しいと思ってプレイしたことはあまりないからね。「今日は楽しんでくれ!」ってよく聞くでしょう? でも、僕なんかは楽しめない。客をどうやって揺さぶるかを常に考えてる。興奮させて、魂を炸裂し合いながら積み上げていって、武道館の屋根もなんでもかんでもぶっ飛べばいい。そんな風にライブをしているんだよ。ぶっとべ!ぶっ壊しちゃえ!ってうところから、僕の道は始まったんだ。我々の先輩たちがそうやって歌を書いていたし反骨の魂で戦ってきた。それ見てカッコいいなと思ったから僕は憧れた。銃よりギターのほうがいいだろうってことですよね。ぶっ壊せと思っているけれど、ギターで人は殺そうとは思わない。ギターで叩いても人は死なないからね…やったことないけれど(笑)」


■獲物を狙う心で生きる

 ――では、世の働き盛りの男たちに激励メッセージを送るとなるとどんな「言葉」になるのでしょうか?

 「喝!行け!ウダウダすんな!今行けとにかく行け!瞬間だ!今を射止めろ!今すぐ!かっさらえ!壊せ!生きろ!刺激的な毎日を自分で作れ!出遅れるな! …絶対にその瞬間しかないんですよ。時間は瞬間の連続ですよ。常に何かを探していく、獲物を狙うような心で生きるってことは面白いよ。『ほら見てみなよ、あいつ出たじゃん。後で後悔するんだったら今出ろよ』。そういうことですね。考える前に動け、とかね」

 長渕は、9月5日に大阪城ホールで1夜限りの「PREMIUM BIRTHDAY LIVE」を行い、ファンと魂をぶつけ合う。

YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」

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