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役所広司の仕事論「人と関われることは“喜び”である」

CULTURE
 邦画はもちろん、『SAYURI』や『バベル』など海外の作品にも出演する役所広司。9月9日公開となる最新出演作の映画『三度目の殺人』では念願だったという是枝裕和監督とタッグを組み、得体の知れない不気味な容疑者・三隅を演じている。「福山雅治との真剣勝負だった」と語る今作の役柄は、役所にとってどのようなチャレンジになったのか、役者を続ける上でモチベーションとなっているものはなんなのか、心境を語ってくれた。

■違う視点から“人間”を捉えた作品になった

 今作で役所が演じた三隅という男は、解雇された食品加工工場の社長を殺し、30年前にも強盗殺人の前科を持つ容疑者である。死刑はほぼ確実の三隅をなんとか無期懲役に持っていこうと、福山雅治演じる弁護士の重盛は奔走する。ところが接見室で三隅と面会するたびに供述が二転三転していき、重盛は弁護士としての在り方を問われ、不要だと思っていた“真実”を求めていくことになる。そんな中、遂に裁判が幕を開ける。役所は今作を次のように語る。

 「最近では原作ものや“実写化”のような興行収入が保証されているものしか企画が通りにくくなっている映画業界の中で、是枝監督はデビュー作から自分の撮りたいものを製作されています。そういう監督はごく稀で、今は“撮りたいものを撮っている監督”ってなかなかいないんですよね。是枝作品だとここ数年は“家族の物語”が多く作られている印象がありますが、デビュー作の『幻の光』はまた違ったテイストですし、僕が大好きな『ワンダフルライフ』なんて良い意味でぶっとんだ映画だと思っていて(笑)。色んなタイプの作品を撮られる監督ですが、今作では最近の作品とは違う視点から“人間”を捉えてみようと思われたんじゃないかなと思っています」


■福山雅治との真剣勝負だった

 日本の映画業界で常にチャレンジし続けている是枝監督と仕事をする喜びを感じたという役所。そんな役所に対して「役所さんの力を借りて、福山さんをどう揺さぶっていくか、いかにいじめていくか」と是枝監督はコメントしている。三隅(役所)VS重盛(福山)の接見室でのシーンは、役所広司VS 福山雅治のようでもある。

 「三隅と重盛の接見室のシーンはとても多かったので、福山さんとは非常に密な感じで撮影していました。2人だけのシーンは、頼れるものは福山さんだけですから。彼はとても誠実に受け答えをしてくれる俳優さんなので、一緒にシーンを作り上げる仲間として凄く頼もしかったです。ですが、お互いに“僕はこう演じるから君はこう演じてくれる?”なんてことは一切なかった(笑)。それぞれが準備してきたものを現場でぶつけあう。その想像以上のものが生まれる瞬間を逃さないようにお芝居をしました。この作品は観ているうちに観客がどんどん重盛(福山)の目線になっていくと成功なんじゃないかなと個人的に思っています。三隅はいろいろな話を重盛にしますが、彼の殺意や動機など本当のところは分からないまま物語が進んでいきます。さらに…裁判をしても真実は分からない、そういったことを監督は今作を通して伝えたいのではないでしょうか」


■人と関われることは喜び

 長年のキャリアを積み上げてきてもなお、役所は第一線で“新しい仕事”に挑戦し続けている。仕事で一番のモチベーションとなっているものを明かした。

 「初めてご一緒する監督や役者さん、新たに演じる役、そして物語との出会いが仕事の醍醐味です。役作りは一人でもできますが、映画は一人では作れません。自分で準備している時はいろいろ考えていますが、最終的には衣装を着て、美術さんが用意してくれたセットに行って、相手役がいて、自分の役を演じて…そこで初めて“あぁ、こういう物語なんだ”と思える。自分が想像しなかったものを、多くの人から影響を与えてもらえることが“喜び”ですよね。それは監督、相手役、スタッフさん…相対するその人がいないともらえないものです。自分では何もできないのですが、その人の声を聴いたり表情を見たりすることによって、“よし、最後まで頑張ろう”って思えてくるんですよ」

 役所広司が出演する映画『三度目の殺人』は、9月9日(土)に公開。

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