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MIYAVIのエネルギー源「自分自身にドキドキし続けたい」

CULTURE
 ピックを使わずに指ではじいてギターを演奏する“スラップ奏法”で、世界で注目される“サムライ・ギタリスト”MIYAVI。2017年はソロデビュー15周年にあたり、最近ではアンジェリーナ・ジョリーに見初められ、ハリウッド映画デビューを果たすなど、新たな舞台での活躍も目覚ましい。そんなMIYAVIのさまざまな舞台で活躍するエネルギーの源や、11月8日にリリースする新アルバム制作秘話を語ってもらった。


■スラップの次は、ギターで奏でる旋律とハーモニー

 2012年に、ジャンル・キャリア・国境を越えてさまざまなアーティストと一緒に創った対戦型アルバムの第二弾『SAMURAI SESSIONS vol.2』。MIYAVI個人のオリジナルアルバムではなく、他のアーティストとのコラボという形にしたその想いを聞いた。

 「世界に素晴らしいギタリスト達がたくさんいる中で、ずっと、いちアジア人である自分が西洋の楽器ギターを弾く意味みたいなものを考えてきました。そして“日本のギター”である三味線に辿り着いたんです。三味線のように一音一音にパッションや衝動を込めるスラップ奏法に辿り着いてから創ったのが、『SAMURAI SESSIONS vol.1』だった。三味線の上妻宏光さん、フラメンコギターの沖仁さん、KREVAさん、細美武士君らが参加してくれて、僕のギターとぶつかり合った摩擦や情熱をパッケージしたものが最初でした」

 「それから時を経て昨年2016年発表したアルバム『Fire Bird』あたりから少しずつ、スラップ奏法のリズム・パーカッシブというものから、ギターでメロディーを奏でるということに意識をし始めました。“ギターで歌う”ということで“翼を得る”というか解き放たれた感覚を得て、ハーモニーと旋律をギターで奏でる尊さを感じられるようになりました。そして今回は、アーティストたちとぶつかり合うようなものじゃなくて、共に1つのハーモニーを創るっていうことに焦点を当てて主にシンガーとの対戦になっています」


■三浦大知、HYDEら10人のシンガーとの競演

 ハーモニーを創るにあたり今回のセッション相手に選んだのが、自身『雅-MIYAVI-』を含むアーティスト10名。MIYAVIは、「今、自分が日本で一番アツいと思う人たちにオファーをさせてらいました」と明かす。その中でも特に思い出深かったのは、HYDEとのエピソードだという。

 「HYDEさんから“みんながキャンプファイヤーでみんなが歌えるような曲にしたい”と聞いて、彼の中の”キャッチーでありたい”っていう大きなこだわりを感じたんです。それは俺にとってはすごく斬新で、自分のアイデンティティとキャッチーさをどう共存させるか試行錯誤しました。HYDEさんの弾き語りを基に、ギターリフも3、4回書き換えて…。応援してくれる人たちに、新しい景色を見せるのが自分たちアーティストの使命だと思っているので、そこにどう斬新さを入れ込むか?創り手として、キャッチーさの中に、アバンギャルドさを共存させるために、すごく考えさせられた作品でしたね」

 もう1点印象的だったのが“MIYAVI自身”との対戦だ。このラインナップに自分とのコラボを組み込むことに特別な想いがあったようだ。「『雅-MIYAVI-』とのセッションは、自分のシグネチャースタイルであるスラップと、進化している過程である、現在進行形のMIYAVIが対峙して、どう共存していくのかを試してみたかった。海外に飛び出した時期、スラップ奏法を駆使して作った『WHAT'S MY NAME?』という楽曲は、MIYAVIの名刺代わりでもあったので、今回、改めて“自分を表現する楽曲”を今の自分が作ったという感覚ですね」


■MIYAVIのエネルギーの源は「自分自身にドキドキし続けたい」

 ミュージシャンを志す前のMIYAVIがセレッソ大阪のジュニアユース選手であったのはよく知られている話だ。怪我によりサッカーを諦めて、ギターと出会う。ヴィジュアル系バンドから始まり、ソロアーティストになり歌いはじめ、スラップ奏法のパフォーマンスにスタイルが変わり、海外に拠点を移し…今は唯一無二のパフォーマンスが世界で評価されている。これほど“変化”しているミュージシャンも珍しい。MIYAVI本人もたびたび「自分をリセットした回数なら負けない」と語っている。新しい自分を生み出し続ける、そのエネルギーの源とは。

 「ショービジネスではあるから、ファンの人たちがMIYAVIに想い描くものを届けるのは1つの責任ではあるけれど、そこだけじゃなくて夢や目標など、新しい景色も見せてあげたい。最近だと、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の人たちと一緒に仕事をさせてもらっています。世界には、生まれた理由も知らずに、考えるチャンスすらもらえずに死んでしまうような子どもたちがいる。今日生きるか死ぬかの世界を目の当たりにしてしまったら、俺たちが日々悩んでいることなんて、本当にくだらない。もう、どうでもいいといっていいくらいに思う。そういう意味では日本は“生きるということ”にすごく恵まれているんだなって感じます」

 MIYAVIは、アンジェリーナ・ジョリーからのオファーでハリウッド映画『不屈の男 アンブロークン』に出演。彼女とのつながりでUNHCRの人道支援活動をするようになったが、「知ってしまった以上はやるしかない」という。一見音楽とは異なる分野に思えるが、そこにボーダーラインはないようだ。

 「自分には2人の娘がいて、仲間がいて、平和な世界で音楽が出来ている。目の前で殺し合いをしている世界じゃ音楽は出来ない。でも、もしかしたら音楽で止められる争いや殺し合いもあるかもしれないじゃないですか。例えばの話ですが、もし“世界中の人”が俺の音楽のファンだったら、俺の音楽で殺し合いは止められるかもしれない。そこに少しでも辿り着くために、今は挑戦していきたいです。自分自身にドキドキ出来なくなったら終わりだと思うから、変わることを恐れたくはない」


■“世界の中の日本”を意識して、今こそ日本人は胸を張ってほしい

 アーティストとしての目標とか夢は無いと語るMIYAVIだが、『音楽は国境を超える』ことを示す存在を目指している。最後に、MIYAVIから、日本の男達へのメッセージをもらった。多くの日本人にとっては“海外”や“世界”はまだ遠い存在かもしれないが、「日本も“世界”の一部」だという。

 「日本って今、変革期に来ていると思っているんです。ここから日本の男たちが、経済的な成功だけじゃなくて、精神的な豊かさを踏まえて、もっと強くなれるか。世界の中に日本という国があって、その中で自分たちは生まれ、育っていることを意識すれば、この国はもっと変わることが出来るはず。いつの時代も世界の中に日本がある。日本人はそこで日々闘っていくべきです。今、このタイミングだからこそ、世界に対して日本人として堂々と胸を張っていけるチャンスなんですよね。もちろんそれは、仕事の大小は関係なくて、目の前の仕事に打ち込んでいれば、自ずと見えてきます。とにかく、今、自分にやれる事を120%でどんどんやっていって欲しいです」

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