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今更聞けない日本酒の基本&熱燗のススメ

FOOD
日本が誇る芸術品の一つ、「日本酒」。日本酒ブームと言われて久しいが、爆発的な盛り上がりではなく、じわじわとその良さが広まっていてまだまだ継続しそうな気配だ。新酒の仕込みが佳境を迎え日本酒の話題が盛り上がるこの時期に、今更聞けない日本酒の基本と注目の銘柄を解説する。後半では、日本酒を自宅で楽しむ際のおつまみレシピも紹介。大人の男が知っておきたい“奥深い日本酒の世界”のほんの入り口として参考にしてほしい。

<よりおいしく飲むために>
後編:「プロが教える日本酒簡単おつまみレシピ」
http://mens.oricon.co.jp/feature/130/
前編の本記事では、全国で数々の美酒を発掘してきた地酒ブームの立役者としても知られる「はせがわ酒店」の長谷川浩一社長に聞いた「今の日本酒の流行」と合わせて、日本酒の基本知識を解説していく。

<TOPICS>
1.東北の酒により今の日本酒ブームに火が付いた
2.今の流行は甘めでフレッシュな飲みやすい日本酒
3.<解説>日本酒の味の表現、酒の規格、ラベルの見方
4.今飲むべき日本酒4選
5.お燗のすすめ「ゴツい酒」が似合う
6.簡単お燗アイデア 平らな片口で電子レンジ
『はせがわ酒店』

昭和50年代から全国の「日本酒」の魅力に気づいて以来、全国津々浦々のうまい酒を厳選して販売。高品質な地酒を広めたいと日本酒一筋で営業する。下町・東京江東区北砂の小さな酒屋からはじまり、長谷川浩一社長の一代で麻布十番、表参道ヒルズ、東京駅グランスタ、スカイツリーなど一等地に店を構えるまでに急成長。長谷川社長自らが年に60〜100蔵ほど全国各地の酒蔵に足を運びうまい酒を探す。その目利きは影響力が大きく、同店の取り扱うラインナップは日本酒業界でも注目されている。「はせがわ酒店」は市販酒の権威的鑑評会「サケコンペティション」の運営にも携わっている。
「麻布十番店」 東京都港区麻布十番2-3-3

「麻布十番店」 東京都港区麻布十番2-3-3

  • 「表参道ヒルズ店」 東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ本館3F

    「表参道ヒルズ店」 東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ本館3F

  • 「東京スカイツリー・ソラマチ店」 東京都墨田区押上1-1-2 「東京スカイツリータウン内東京ソラマチ」1階

    「東京スカイツリー・ソラマチ店」 東京都墨田区押上1-1-2 「東京スカイツリータウン内東京ソラマチ」1階

  • 「二子玉川店」 東京都世田谷区玉川2-21-1  二子玉川ライズショッピングセンター B1 二子玉川東急フードショー内

    「二子玉川店」 東京都世田谷区玉川2-21-1 二子玉川ライズショッピングセンター B1 二子玉川東急フードショー内

3.11がきっかけで東北の酒からブームの火がついた

まずは今の日本酒ブームをどう捉えているのかお聞きした。

「最近やっと、日本酒が“たしなみの一つ”になってきたと感じます。例えば、ひと昔前は居酒屋で日本酒といえばメニュー表には「日本酒」「清酒」って書いてあるだけで、それが何の銘柄なのかまで記載されていない店ばかりでした。良くて大きな酒蔵の看板や販促物が飾られているくらいでしたね。日本酒は長い間ぞんざいに扱われていたんですね。国としても海外の来賓を日本酒ではなく海外のワインでもてなしていたくらいです。

ひと昔、焼酎のブームがくると街の酒屋にも居酒屋にも置かれました。日本酒は本当の意味でのブームが来なかったんですよね。それが、今は、どこの居酒屋に入っても、銘柄や規格をちゃんと記載するようになっていますよね。日本酒としてひとくくりにしてメニューに書いてある店なんてないですよね。今そんな店があったらお客にバカにされるからね(笑)」


良い地酒が地道にファンを獲得していてはいたが、それが加速したきっかけとして長谷川社長が実感しているのは、3.11の東日本大震災だという。日本全国で東北を応援しよう、東北の酒を飲もうというムーブメントが今の日本酒ブームのきっかけだという。

「地震で被害を受けた「南部美人」の蔵元さんが、自粛モードの中で「自粛をしてもらうよりも、お花見をしてお酒を飲んでくれた方がうれしい」ってYOUTUBEで訴えて火がついて“東北の酒を買おう”っていうムーブメントが起こりました。あの時は東北の酒がみんな空っぽになったんですよ。それくらい大きな動きで、多くの人に日本酒を飲まれて、注目をされました。実際に飲んだ中の何パーセントかの方が、「日本酒っておいしい」って思ってくれたんだと思います。それが最近の「日本酒がキてる」といわれるきっかけでは大きい。もちろん蔵元さんたちが努力しておいしい酒を造っていたからこそですがね」

今の日本酒の流行は、甘めでフレッシュな「飲みやすいタイプ」

「最近は消費者の健康志向の高まりもあって、純米(※)が圧倒的に売れてます。トレンドとしてはちょっと甘め、若い、フレッシュなお酒。水のようにすっと飲める新潟の淡麗辛口がずっと売れていたんですが、行きすぎちゃって今はその逆。全国的にも純米酒に力を入れる蔵がものすごく増えていますね。今は醸造アルコールを添加する吟醸・大吟醸はあまり売れなくなってきています。これから先もどんどん純米化は進んでいくと思いますよ」

<※解説:日本酒の規格について>
ひとくちに日本酒といってもさまざまなタイプがある。ひとつは分類。「特定名称」といって、原料、製造法の違いによって分類される。
このほか、リーズナブルな普及酒として糖類を追加した「普通酒(または一般酒)」がある。
純米とは…米・米麹・水のみを原料にして作られたお酒。米本来の風味が豊か。醸造アルコールが入っていないものを純米という。
吟醸とは…特別に吟味して醸される酒のこと。高級酒という意味
「甘口ブームのきっかけは秋田、福島、宮城、それから「十四代」の山形のお酒ですね。寒い地域には味の濃いものが多かったんです。新潟のお酒も元々は(昔は)甘かったはずなんですが、(当時の)東京を意識した淡麗辛口の酒が何十年も売れて定着しています」

「トレンドはアルコール度数の低いものですね。原酒ではアルコール度数18度〜19度のものが一般的でしたが、今は原酒でも17度程度。それでも濃いんですがね。14度前後の銘柄に注目しています。“もう一杯”が楽なんですよ。飲み疲れなくてすっと入ってくる感じが飲みやすくて受けています。ワイン並みのアルコール度数です。酒だけではなく、飲食業界全体的に“口に含むものへの意識”が変わってきているかもしれません。味の濃い濃厚のものよりも、洗練されていたり、軽いものの方が受けているような印象です」
<解説:酒の味わいについて>
日本酒も甘口←→辛口、淡麗←→芳醇、いろいろな表現がある。お酒の味の表現の基本はこちら。
消費者のお酒の買い方も変わってきているという。

「お酒の基本的なことはラベルに載っているのですが、お客さんがとにかく原材料を気にする時代ですからね。日本酒は教えすぎかもしれないです(笑)。ワインはラベルにあまり詳しく書いていないじゃないですか。

でも、最近は日本酒でもラベルに酒の情報を記載しない、非公開になる傾向にあります。酒米の品種ですら非公開としているものもあります。酒税法で定められた最低限のこと以外を記載しない方向になっていますね。ユーザーが知りたいことは、“肩ばり”に載せることが多いです。酒瓶、ラベルを見ても分からないという方は、どんな味なのか、酒販店の方に聞いてみるのが一番ですね」
酒の情報が記載された「肩ばり」

酒の情報が記載された「肩ばり」

<解説>日本酒のラベルの見方

<解説:ラベルの見方>
ラベルにはさまざまな情報が記載されている。ツウ向けの用語が多いが、前述の特定名称の他にも味わいやどんな酒なのかを把握するための手がかりとして知っておこう。
A お酒の規格
吟醸、本醸造、純米大吟醸など、お酒の造り方を記載している。
精米歩合(酒米の磨き具合)と原材料で決まる。米と麹のみで作られるものが純米系、醸造アルコールを添加するものが本醸造、吟醸、大吟醸ととなる。前述の表も参考に。

B 酒のタイプが分かる

酵素の働きを止めるための加熱(火入れ)をせずに、酵素がビン内で活動を続けるのが「生酒」。フレッシュな飲み口が楽しめる。加水しないものは原酒となる。ほかにも、「山廃仕込み」などの造り方を記載することもある。

C 「日本酒度」甘口、辛口はここでチェック
日本酒に含まれ得る糖分の比重を表している。プラスになるほど辛口で、マイナスになるほど甘い。

D 「酸度」うま味のバロメーター
酸は味を引き締める効果がある。平均を1.5〜2.0をスタンダードとして、低ければスッキリ、高ければ芳醇な味わいに。

E 「原材料」原料米も種類いろいろ
「山田錦」「五百万石」「雄町」などの酒米の種類や、香りや味わいの調整のために吟醸酒・本醸造などで使用する「醸造アルコール」も記載される。

F「精米歩合」
原料米の削り具合を表す数値。40%表記なら、60%を削っている。手間をかけて削って、米粒の中心(芯白)に近い部分を使うほど、雑味のない酒が出来上がる。

G 「酵母」
アルコールを造る主役である酵母の種類もさまざま。「酵母無添加」と表されているものは、蔵に住みついている天然酵母を使用。 

H 「酒造解説」
酒へのこだわりやおすすめの飲み方、銘柄の由来など、蔵からのメッセージが記されていることも。

長谷川社長おすすめ、今飲むべき日本酒4選

これから日本酒にチャレンジしたい人にお勧めの銘柄を聞いた。


「僕が今飲んでいるのは、アルコール度数が13度くらいで低めの純米吟醸が多いです。純米大吟醸、大吟醸はあまり飲まないですね。高いし(笑)。4合瓶(720ml)で、1500円〜2000円くらいのものがいいですよね」

「人気があって、飲みやすくて、おすすめしているのは、広島の「賀茂金秀(かもきんしゅう)」、「澤屋まつもと」、ブームである低アルコールの基礎を作った「東一 Nero」もいいですね。そして広島の人気銘柄「雨後の月」。ここら辺がフルーティーかつ低アルコールでスイスイ飲める代表格です。うちの店だけでなく、他のお店でも割と買いやすい。「新政」も好きなんですが、人気が出ちゃって今はもうなかなか買えないんですよね(笑)」
「賀茂金秀(かもきんしゅう)特別純米 原酒 13度」 (1800ml) 2808円、(720ml) 1404円

「賀茂金秀(かもきんしゅう)特別純米 原酒 13度」 (1800ml) 2808円、(720ml) 1404円

「澤屋まつもと Kocon」(720ml)1944円

「澤屋まつもと Kocon」(720ml)1944円

「東一 Nero 純米吟醸」(720ml)1728円

「東一 Nero 純米吟醸」(720ml)1728円

「雨後の月 特別純米 山田錦」(1800ml)2743円、(720ml)1371円

「雨後の月 特別純米 山田錦」(1800ml)2743円、(720ml)1371円

※価格は「はせがわ酒店」の売価
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